日本の祭りレポート
からとやましんじずもう
これは相撲が好きだった磐衝別命(いわつくわけのみこと)の遺徳を偲んでその命日に行われる神事相撲です。緩やかな傾斜のすり鉢状の地形の底に設けられた屋外相撲場に篝火がたかれています。そこで北陸各地から集まった力自慢が技を競うのです。観客は斜面の芝生に座って応援。あの横綱輪島も今の遠藤も炎鵬も少年時代にここで相撲をとりました。
祭りの日、午後3時、羽咋神社で奉額祭、立行司への軍配授与式が行われます。相撲はそこから1キロばかり離れた相撲場で開催。初めに力士の土俵入り、相撲甚句、神事太鼓が披露されます。8時半、取り組みが始まりました。その迫力はまさに大相撲。取り組みは前弓・中弓・奥弓と進み、最後は大関戦です。場内はヒートアップ。取り組みが終わり、ふたりの大関は担がれて羽咋神社へ。神社の拝殿で諸々の神事が行われ、祭りは終了。
相撲の語源は「住まう」で「神が住まう」ことを意味するとされます。土俵の俵は結界、塩をまくのはお清め、ということで相撲自体が神事なのです。この祭りこそ稀少な神事相撲、俗界を忘れる雰囲気。後世に伝えなければならない貴重な文化です。
取材・文:苦田秀雄
唐戸山神事相撲は相撲好きの羽咋神社の祭神・磐衝別命(いわつくわけのみこと)の遺徳を偲び、命日の9月25日に行われています。北陸各地から力士が集い、古式にのっとり「水なし塩なし待ったなし」で競い、結びの一番で大関を決めます。 すり鉢状の地形の中央に土俵を設けた野外の相撲場は日本最古として伝わります。
※出典:ダイドーグループ日本の祭り