日本の祭りレポート
はちのへえんぶり
えんぶりとは「朳」と書き、田畑をならす農具の柄振り棒で、稲作の伝来とともに中国の江南地方から伝わったとされます。それを手に踊る意味は田の神を目ざませ、豊作を祈る予祝芸能で、種まきから稲刈りまで米作りの所作をとり入れたもの。
「八戸えんぶり」は、下は2歳から上は80歳までが役を演じながら各家庭を回ります。えんぶり組は鳥帽子をかぶった3人から5人の太夫が中心になって、親方、囃子手、舞手など20~30名で構成。“一本植えれば千本となる これこそ早生(わせ)の種かい 七穂でも繁昌する八穂で九のますかい”。唄に合わせて種まきや代かき、田植、稲刈り、米俵を積み上げる所作を演じます。
【取材・文:苦田秀雄】
八戸えんぶりは、八戸地方に春を呼ぶ民俗芸能で、豊作祈願の祭りです。色とりどりの烏帽子を被った太夫が踊ることを「摺(す)る」といい、毎回約30組の「えんぶり組」が、八戸市の長者山新羅神社での奉納の後に一斉摺りを行います。その様は、あたかもまだ寒い北の大地に響きわたる春の鼓動のようです。