日本の祭りレポート
いそべのおみた
この祭りのある伊雑宮(いぞうのみや)は伊勢神宮内宮の別宮で、神事はその御神田を中心に行われます。まず御料田に育った稲をとる「早苗取り」。そして泥田で40人ほどの若者が忌竹(いみだけ)を奪いあう「竹取り神事」。彼らは下帯一枚で御神田でのたうち、「ゴンバウチワ」を引き倒し、そのかけらを奪いあいます。そこに記された「太一(たいいち」」の文字は天照大神のこと。漁師はそのかけらを持ち帰り、船霊(ふなだま)様に奉納して豊漁を祈願。さらに早乙女らの「御田植神事」、数え唄を歌いながら田の中で少年二人が舞う「刺鳥差(さいとりさし)」があり、最後は御料田から一の鳥居までの200メートルを2時間かけて踊りながら進む「踊り込み」と続きます。祭りに流れるのは平安の空気と時間。
【取材・文:苦田秀雄】
伊勢神宮内宮の別宮「伊雑宮」のご料田で行われる「磯部の御神田」は、国の重要無形民俗文化財に指定されており、日本三大御田植祭の一つに数えられています。男たちが泥にまみれながら、大団扇のついた竹を奪い合う「竹取り神事」。田楽の響く中、菅笠姿の早乙女たちによって行われる「御田植神事」など、いくつもの情景を見せ、時代絵巻を繰り広げます。
※出典:ダイドーグループ日本の祭り