日本の祭りレポート
ふじのみやまつり あきみや
この祭りは富士山の雪解け水で農業や林業、製紙業に従事する人々が秋の実りに感謝するもの。霊峰富士を背景に繰り広げられる山車と囃子の共演は、これぞ日本の祭りの風情。茜色に染まった富士の山を背景に居並ぶ山車の群れはまさに江戸の景色。山車が競りあう「やたい囃子」を目いっぱい体を弓なりにして打ち回す若者。ミリ単位の至近距離まで寄せあう山車を操る呼吸。これらがこの祭りの美学なのです。「やたい囃子」は競りあいの際の大音響で相手の調子を崩した方が勝ちとされていますが、勝敗は祭り人お互いの心の中にあるとか。その激しさは体力を消耗させるため、囃子方は3~4組用意されています。
【取材・文:苦田秀雄】
富士山本宮浅間大社(ふじさんほんぐうせんげんたいしゃ)は、全国に約1300社ある浅間神社の総本社。富士信仰の中心地です。富士宮まつりは、20の区が祭り囃子を賑やかに奏で、山車や屋台を引き回し、収穫と一年の無事を感謝します。見どころは各組の屋台や山車による激しい「競り合い」。独特の「富士宮囃子(ふじのみやばやし)」は県の無形民俗文化財にも指定されています。
※出典:ダイドーグループ日本の祭り