日本の祭りレポート
とりおうまつり
稲穂や米・白米・酒・餅などが、古来日本では霊力をもつとされてきたことはよく知られますが、この祭りの主役は握り飯。祭りの日の夕刻、地区の男衆が手順にのっとって「御供(ごくう)さん」と呼ぶ833個の握り飯をこしらえ、それを竹製の容器「テボ」に入れて神原八幡宮へ。この御供さんの入ったテボを火中で奪い合う(取り合う)のが祭り名の由来といわれます。「押ーしゃえんかー」と叫びながら松明の火の粉を浴びせる守り手(主に年配)。対して「打ーちゃえんかー」と応酬する攻め手(主に若手)。テボは激しく揺さぶられることで穀霊の再生力を増します。松明合戦の後、御供さんは境内に集まった氏子や見物者にふるまわれ、皆で豊作と健康長寿に感謝するのです。火の粉をさんざんに浴びた攻め手はひどい水ぶくれになるそうですが、それは勇敢に戦った名誉の負傷ということなのでしょう。
※参考:文化庁月報 平成25年11月号(No.542)記事
取材・文:加藤正明
取り追う祭は、御供(ごくう) さんと呼ばれる握り飯を奪い合う収穫祭です。地区の男達が二手に分かれ、燃え盛る松明の火を打ちつける激しい合戦が見どころ。御供さんは穀物に宿るとされる精霊の象徴で、最後に氏子みんなで分け合い、長寿や健康を祈ります。起源は、南北朝時代に敗れた武将が再起を図るための火中訓練と言われています。
※出典:ダイドーグループ日本の祭り