日本の祭りレポート
やはぎじんじゃはるのたいさい にわかとししまい
村の鎮守のお祭りです。そこに満ちるのは小気味よい太鼓のリズム。まず獅子舞。演目はお祓いの舞「拝み出し」に始まり、雌雄の獅子が舞う「獅子三番叟」、「提婆(だいば)」などと続きます。次は「にわか*」です。出しものは「医者と坊主」「ごんぱち」「身代り地蔵」など。最後は「四継ぎ獅子」です。つまり人間のタテ4段重ね。獅子児は「祝!矢矧神社春の大祭」と記された巻紙を垂らしました。そして、この人間トーテムポールはその場をゆっくりと一周。この間何事もなかったかのように太鼓はずっと、トントコ トトト トン トコト。彼らの身の軽さは造船業で鍛えた躰なのです。
ある老人がつぶやきました。“わしらの若いころは「六継ぎ獅子」をやってたもんじゃ”と。
【取材・文:苦田秀雄】
今治市朝倉の矢矧神社・春季祭礼では獅子舞と掛け合いによる寸劇「にわか狂言」が奉納されます。愛媛県内に残存する唯一のにわか芸で、獅子舞奉納の途中に周囲を観客に囲まれ上演されます。最後はこの獅子舞のひとつ「継ぎ獅子」が奉納されます。人が人の上に重なり、三継ぎ、四継ぎと差し上げられる獅子の姿は圧巻です。
※出典:ダイドーグループ日本の祭り