日本の祭りレポート
しらほのししまい
これはまるで生きている獅子。子どもらは“れーるれ れーるれ”というかけ声で獅子を誘います。子どもらがちょっかいを出すと獅子は彼らを追っかけまわし、三線と銅鑼、太鼓、横笛のリズムに乗って動く跳ねる。内地の獅子舞とはまったく違います。この獅子舞はお盆や豊年祭、結願祭などで行われ、地域の各家庭を回ってその庭先で演技を披露します。これは特別な祭りというわけではなく、彼らにとって日常のオコナイ。獅子は赤ちゃんを飲み込み、お尻から取り出されます。これで赤ちゃんは健康に育つというおまじない。若者らは獅子舞を演じたく練習にいとまがありません。自分が白保の赤ちゃん何人飲んで生まれ変わらせたというのは大きな名誉になるからです。それはまるで産婆さん。
新石垣空港からすぐ近くの白保地区。海に面した集落の風情は伝統的な琉球の景色。赤瓦の屋根と石垣に囲まれた家々。ディープな琉球の夜です。
取材・文:苦田秀雄
石垣島、白保で約300年の伝統を誇る「白保獅子保存会」による獅子舞。旧盆の3日間、夜、三線やドラの音が響き渡ります。白保には、その家の子孫繁栄、無病息災を願い、赤ちゃんを獅子の口から飲み込ませる習わしがあります。獅子舞は村に幸福と繁栄をもたらす存在で、ここで生まれた育った男たちは獅子に憧れいつか獅子を被ることを夢見ています。
※出典:ダイドーグループ日本の祭り