日本の祭りレポート
だいもじひき
ここは栃木県大田原市佐良土。光丸山法輪寺の門前町です。そこの仲宿、田宿、古宿の3地区が輪番制で登板を担当して行われるのがこの大綱引き。別名「盆綱引き」とよばれるこの綱引きは、勝てば豊作と無病息災が約束されるというものです。「盆綱引き」は千葉北部から茨城中南部に分布し、これが最北端に位置するものとされます。
朝から地区の人が集まり、まず「ヒックビレ」という小さなワラの束を作りはじめます。次に櫓を利用して太い綱に綯ってゆきます。綯うことを「もじる」というのが祭り名の由来とか。長さ41メートル、直径40センチの大綱が完成。それは国道に運ばれ、地区の吉凶をかけた老若男女の綱引きは真剣そのもの。
祭りの由来は、永正17年(1520)白河城主の結城義永と那須福原城主の那須資房との戦いにあるとされます。戦いに敗れた白河勢は太い綱をつくり、それを箒川に投げ込んで敗走を図ります。逃がしてはならぬとその綱を引く那須勢。それが綱引きの起源とされます。
[取材・文:苦田秀雄]