日本の祭りレポート
いちきくしきのたなばたおどり
ここは薩摩の田園。「ドーン ドーン」鹿捕りの鉄砲に鹿は跳ねたり、あたりを見回したり、撃たれて苦しんだり。“虎がくっどー”の掛け声で、農民は身を隠しながら虎に近づき、隙を狙って槍で射止めます。次は巨大な牛。牛使いと牛との所作がユーモラス。最後は鶴です。餌蒔きが桶を叩いて籾(もみ)を蒔くと、鶴は体を屈めて首をさげ、餌を探す所作を。そして「琉球王行列」。これは琉球王が島津義弘公の戦勝を祝った行列とか。さらに薙刀行列、太鼓踊と続きます。祭りの終り「千歳まで」を合唱。“千歳まで 限れる松も 今日よりは 君にひかれて 万代や経ん 様は生絹の 染め小袖 一重心で 恨めしや(以下略)”。祭りの開始を告げる半鐘の音も彼らの記憶遺産なのです。
【取材・文:苦田秀雄】