日本の祭りレポート
みやうちくまののししまつり
先ず行者たちは崇拝の対象である「おししさま」の頭をお神酒で清め、タテ髪をとりつけ、箱に納めて一斉にその頭を叩きます。それが「ハコバヨイ」。箱に触れることがご利益なのです。今度はその頭髪の壮絶な奪いあい。これが「オシダバヨイ」。翌日は「ボンテンバヨイ」が。これは御上りに奉仕する行者たちのお清め。舞が終われば行者たちが「おししさま」の頭髪を奪いあいます。それが「シシバヨイ」。「おししさま」は大鳥居に進みます。そのとき獅子児たちが「おししさま」の頭を叩き、あわせて自分の頭も叩きます。健やかに育つというまじない。「バヨイ」は「競」と表記。これは獅子を通じた希少な潔斎なのです。
【取材・文:苦田秀雄】
山形県南陽市宮内の熊野大社では、毎年7月に五穀豊穣を願う例大祭が行われます。祭りでは、重さ400キロを超える大神輿が、威勢のいい掛け声とともに市中を練り歩きます。また、境内では、獅子頭の周囲につけられた「おしだ」を目がけ、氏子達がわれ先と奪い合う「獅子競(バヨイ)」が繰り広げられ、辺りは興奮と歓声に包まれます。