日本の祭りレポート
なかざとのひのはなまつり
古来、富士山は神の宿る山として崇められてきました。その信仰は「富士講」という組織をつくり、幾多の信者が富士登拝を行ってきました。それは大きな労力と経費を要するため、講員は各地に富士山を摸した塚をつくり、それに登拝ことによって代替とするようにしたのです。それが「冨士塚」です。
この祭りの中里冨士塚は高さ10メートルで都内では最大級。塚にはつづら折りの登山道が続き、頂上には祠が。講員たちはその前で経文を読み、かけあい念仏を唱えながら下山。塚の下には高さ3メートルばかりの藁山が設けられ、お祓いをして点火。「お焚き上げ」です。炎が最高潮に燃えだせば講員の御幣が観客の頭上を舞い、ご利益を与えます。
【取材・文:苦田秀雄】
都内有数の規模を誇る中里の富士塚では、世界文化遺産に登録された富士山の富士信仰を元とし、毎年9月1日、堆ず高く積み上げた麦藁を燃やす「火の花祭り」が行われます。お焚き上げでは、闇夜に燃え盛る炎とお伝えの響きに包まれ、人々は身を清め家内安全と世の安寧を願います。