日本の祭りレポート
にしながえうらおおだいこまつり
田の守り神として知られる「田の神さま(たのかんさぁ)」の石像がこの地でまつられるようになったのは18世紀初め。この大太鼓踊りの創始はそれより200年近く古く、田の神さまに同じく五穀豊穣を願います。宮崎県南西部、お隣は鹿児島というえびの市は藩政時代にさかのぼれば薩摩藩の領地。藩主島津家の良君・義弘公が祭りに太鼓と鉦を寄進したと伝えられます。最初に踊る「弁財天池」は、トンボが飛び交う清らかな水源地。ここで田に引く水への感謝と祈りをささげたあと、一行は親鉦・子鉦だけを鳴らしながら南方神社へと練り歩きます。神社へ着くと、太鼓も加わり踊りながら縦4列の編成から円のかたちに陣形が変化。「やーどっこい、やーどっこい」、鎮守の森に男達の勇ましいかけ声が響きます。
[取材・文:苦田秀雄]