日本の祭りレポート
にゃくいちおうじまつり
流鏑馬は武運祈願や武芸鍛錬にはじまり、早くから祭礼や神事と結びついたといわれます。現在、子どもによる流鏑馬は全国にいくつも残っていませんが、引き馬に乗った稚児が的の至近から矢を射る若一王子祭りの流鏑馬は、子ども流鏑馬の中では最も射手が幼く(6~9歳)、儀式的といえるでしょう。付き添い人も含め、装束などにかかる費用は半端ではなく、近年まで財力のある良家の子息しか騎乗できなかったといいます。若一王子祭りのもうひとつの見どころは「舞台」と称される山車の競演。現在、6町が見事な舞台を保有していて、多くは江戸時代の作と伝えられます。二階建ての舞台は人形飾りや獅子頭などを乗せ、神社などで本囃子を奉納。祭り二日目の宵祭りには舞台の曳き揃えがあり、豪華です。
[取材・文:加藤正明]