日本の祭りレポート
おばさまのえんねん
「延年舞」は寺院芸能のひとつで、舞うことによって長寿を寿(ことほ)ぎ祈る芸能です。「小迫の延年」はまず神男が幣束で四方祓いをする「お山開き」をし、祭文(さいもん)を詠みます。その間、白髪の老女と黒髪の若女がそれぞれ馬上で化粧をします。祭文を詠み終わった神男をふたりが奪おうと扇で打ちあいます。次は坂上田村麻呂の戦勝祈願である「入振舞(いりふりまい)」で、ふたりの僧が薙刀を手に舞います。つづく「飛作舞(ひさまい)」は坂上田村麻呂と妻の鈴鹿御前が春陽歌にあわせて舞うもの。最後は那須与一宗高の「扇の的」の故事をもとにした「馬上渡し」。与一や後藤兵衛実基など6人の武者が演舞し、与一はキリリと弓をひき見事に的を射抜きます。
【取材・文:苦田秀雄】
小迫の延年は、春の農耕期を前に豊作を願い行われてきた祭りです。延年とは、平安から室町にかけ僧侶や稚児が寺院で盛んに行っていた遊演舞台の総称のひとつ。平安時代より地域の年中行事として伝承されたものは古風な芸能を残しており、国の重要無形民俗文化財に指定されています。祭りでは7つの演目が披露されます。