日本の祭りレポート
おきつひめじんじゃたいさい
自然と文化と食の能登半島、残された日本がここにはあります。祭りの日、奥津比咩神社には若い男女と小さな子どもたちがいっぱい。聞けばこの地区の人たちは都会に就職する人が少なく、人生のほとんどを故郷で完結させるのだとか。理由はひとえにここの海の幸。古来女性は海女が多く、働き者。「能登のトト楽」(能登の男性は楽だ)といわれる所以です。神社での神事を終え、神輿は日本海の袖ヶ浜へ神幸します。神輿は海に。入水神事です。夕陽は赤々と水平線に落ち、残照が海を染め、裸体の男たちはシルエット。これはけなげにも龍に襲われて下半身を失いつつも、宝珠を胸にはさんで大和国王に献上した海女の功績を称える神事なのです。
【取材・文:苦田秀雄】
輪島沖約50キロ、絶海の孤島「舳倉島」の本社(もとみや)・奥津比咩神社の祭礼。海士町の女神が輪島の男神に年に一度会い、新しい神様が生まれるという伝説にちなんだ“神輿入水神事”が見ものです。女装した若衆が担ぎ沖に向かわんとする神輿を子供たちが逆に引っ張り、その引き合いが長いほど豊漁に恵まれるとされています。
※出典:ダイドーグループ日本の祭り