日本の祭りレポート
あかさきじんじゃれいさい
ここは古代ローマの円形劇場か。それは神社脇に設けられた石垣で組んだ階段状馬蹄形の楽桟敷。観客はその芝に居すわって楽踊を鑑賞するのです。「芝居」の語源です。
楽踊は田植神事で踊られる田楽の流れをくむもの。祭りでは「月の前の伶楽」と「虎の子渡し」「湯本南条踊」などが披露されます。踊り手は円陣を組み、太鼓と鉦にあわせて激しく踊ります。その所作は悪霊を鎮め、はらいのけようとする力強さ。彼らは前後左右に跳びあがり、足踏みをし、身体を浮き沈みさせ、楽の調子は動から静へ。静から動へ。2人の童子のいでたちはいかにも唐国風。長門は海の幸、自然の景観、人情など、ここは薄幸の詩人金子みすゞの故郷、元乃隅神社の赤い鳥居の列など、旅の穴場です。
【取材・文:苦田秀雄】
国の重要有形民俗文化財「赤崎神社楽桟敷」で、神恩に感謝し、五穀豊穣を願う踊りを奉納します。今から400年程前、牛馬の疫病が流行し農耕と牛馬の守護神を祀る赤崎神社に平癒祈願をしたところ、鎮まったことから神恩に感謝する踊りを奉納したことに始まります。以後、例祭で「式三番叟」「楽踊」「湯本南条踊」を奉納しています。
※出典:ダイドーグループ日本の祭り