日本の祭りレポート
かつやまけんかだんじり
勝山はかつて三浦藩が統治した岡山県北の城下町。旭川沿いの家々の玄関口にかけられた暖簾(のれん)が風に揺れ、訪れる人の心を和らげます。金木犀の香る秋、町をはしる出雲街道に鐘と太鼓を鳴らしながら各町内のだんじりが集まってきます。そして“おいさぁ おいさぁ”の掛け声で後ろに引かれ、猛烈な勢いで衝突を繰り返すのです。だんじりの先端が平らなためその衝撃は凄まじく、とてつもなく大きな衝突音が響き、地面が揺れます。その音と打感に若者らは陶酔。正対した衝突音は実にしっかりしたものになり、弾き返されるほどどの感触を得るようです。そのとき彼らは満足げな表情をみせ、顔は「どや顔」となり、輝くのです。
【取材・文:苦田秀雄】
出雲街道の要衝として古くから栄え、岡山県の町並み保存地区に指定されている真庭市勝山。静かな町は、毎年「喧嘩だんじり」で熱く燃え上がります。9台のだんじりが4つの喧嘩場で、激しくぶつかり合う「喧嘩だんじり」。勝山の若者が1年で最も熱くなるこのぶつかり合いは、観客をも興奮の渦に巻き込む祭りです。
※出典:ダイドーグループ日本の祭り