日本の祭りレポート
たかおのよまつり(ほみじんじゃしゅうきれいたいさい)
南アルプス市・櫛形山の高尾穂見神社でひときわ目をひくのが境内中央の立派な神楽殿です。時を経ていまでこそ色が抜け落ちていますが、建造当時は極彩色のさぞ絢爛豪華な建物であったことでしょう。この神楽殿で夜を徹して舞われるのが「太太神楽」。全盛期には24も演目があり、住民の手で200年以上引き継がれてきました。秋季例大祭が「夜神楽」と呼ばれる所以です。そして祭りのもうひとつの特徴が全国的にも珍しい「資本金(もとで)貸し」の風習。かつて種籾・麦・大豆などを神社に借りて農耕を行い、収穫後、倍にして返したことに由来すると伝わります。いまはお祓いを受けたお札を倍の金額で授かる形式で、このお金で宝くじや馬券を購入する方も多いとか。祭りの夜、麓の集落から穂見神社を目指して山を登ったかつての提灯行列は、いまガイド付きのナイトハイクに姿を変えて人気です。
取材・文:加藤正明
ほんの数軒の高尾集落。毎年1月22日の朝から翌2時過ぎまで太々神楽を奉納。豪壮な神楽殿も見もので、かつては夜通し舞われたため「夜神楽」などとも呼ばれていました。商売繁昌・家内繁昌の「資本金」を神社から借り、翌年に倍にして返すという独特な風習があります。現在では、「百万円」などと記された章を受け取り ます。
※出典:ダイドーグループ日本の祭り