日本の祭りレポート
やなぎさわのやけはちまん
“酒呑んだら俺たち神様になるんだ。柳沢の家ぜんぶ回るんだ。嫁っ子の顔にヘソビ(煤)つけて回るんだ”
これは柳沢集落の小正月の祭り。毎月の天候占いと作(さく)占(うら)*などの行事がまざったもの。呑む酒はひとりほぼ1升。神になった若者20人は家人総出で待つ家に草履のまま乱入。そして家人とまた酒を。神様の手はでヘソビで真っ黒。神様は突然その手をお嫁さんの顔にべたり、べたり。真っ黒い顔になった嫁はこうして集落の一員になるということであり、それは神様降臨の目印。40軒を回り終えた神々は祠に戻り、若者長が御小屋に点火。その煙の流れる方向で作柄を占います。西の方向なら山の恵み、東なら里ということ。
*作占:農作物の豊凶を占うこと
【取材・文:苦田秀雄】
火難避け、五穀豊穣、家内安全祈願の小正月行事。八幡神社の境内に藁と竹を使い御小屋と12束の灯籠を作り、灯籠の燃え方でその年の作況を占います。夜明け前には若者達が家々を回り手桶の酒を振る舞い新婚の家ではお嫁さんの顔にかまど墨を塗り神のご加護を願い、明け方には御小屋に火を放ち一年の無病息災を願います。