日本の祭りレポート
あさくらのはしごじし
愛知県北西部、知多半島。この地の伝統芸能としてよく知られるのは尾張知多万歳、そしてこの朝倉の梯子獅子です。高さ9メートル、3本の細い横柱を“舞台”として、油単をかぶり獅子頭を操りながらの危険な曲芸にも関わらず、命綱はありません。囃子に合わせて櫓の上で披露される二人立(ふたりだち)獅子舞を見ようと、牟山神社の境内は立錐の余地もないほどの混みよう。演技に先だってするすると梯子を上がった若者が足場を濡れ布巾で湿らせ、お清めの塩をたくさん地面にまきました。日々の研鑽、相方への信頼、万全の準備、そして神への祈り。恐怖感を乗り越え全身全霊を込めた30分間の演舞に、いつまでも拍手がやみません。
取材・文:加藤正明
今から400年程前、朝倉村に農作物を荒らす猪が度々現れ、甚大な被害をもたらしました。そんな猪を梯子攻めにして退治し、その翌年大豊作となったことから、猪の供養と豊作を祈願する祭りとしたことが起源と言われています。高さ約9メートルの櫓(やぐら)で行う二人一組の獅子舞は「運勢の舞い」などを披露し、数々の離れ業を行います。
※出典:ダイドーグループ日本の祭り