日本の祭りレポート
ひらおか とみじんじゃのししまい
印西市は、かつて利根川水運の隆盛と共に宿場町として栄えました。現在は、都会的で美しい街並みに外資系巨大物流センターや大規模商業施設が加わり、暮しやすく働きやすい町として人気です。その印西市で農村の面影をとどめているのが平岡地区。鳥見神社の獅子舞は、苗代(なわしろ=稲の苗床)の種籾(たねもみ)まきの終了を祝う「オコト」という行事の日に行われてきたもので、お田植え神事に比較すると珍しい行事です。鎮守の森で、ジジ(親獅子)、セナ(若獅子)、カカ(雌獅子)の三匹獅子による、「初の切」「二の切」「弓くぐりの舞」など、いくつもの力強い演目を拝見しました。帰路、駅までの道すがら目にしたのは満々と水を張った田んぼの広がり。農耕と祈りの近しさを思わずにいられませんでした。「オコト」はおそらく「御事」かと。
[取材・文:加藤正明]