日本の祭りレポート
いちきこしきじゅうごやはしらまつしんじ ひまつり
古来この辺りはしばしば大きな台風に悩まされてきました。これは台風の風で生じる竜巻を龍蛇に見たて、口の中に火を投げ入れて退治しようとする祭り。
勢子たちが“え~いとな~ よ~いとな~”の掛け声で柱松を立てます。高さはほぼ30メートル。柱松には「巣」といわれるカゴがあり、それが大蛇の口に見立てられ、その中には燃えやすいように藁を敷いています。柱松の「巣」に向けて投げ入れが始まりました。彼らはぐるぐる小松明を振り回して思いっきり高く投げ、上から「巣」を狙います。小松明が「巣」に乗り、それは炎を上げ、柱松は燃え落ちました。これで龍蛇が退治され、地域に平安がもたらされるのです。
【取材・文:苦田秀雄】
300年以上前から伝わる五穀豊穣や無病息災を願った伝統行事。市木が元気になるためにと、20数年前に祭りを復活させ、今では集落の方々のふれあいや絆を深める大切な場となっています。当日は、児童による「子供柱松」や「松の下笹踊り」なども行われます。勢子が投げ入れる松明が夜空を彩る魅力的な祭りです。
※出典:ダイドーグループ日本の祭り