日本の祭りレポート
かみとかみのさとのはるまつり
これは道祖神(どうそじん)ならぬ紙祖神(しそしん)の祭り。福井県越前市は日本一の手漉(てす)き和紙の産地です。そして、これは日本唯一の紙の神事。言い伝えでは5世紀の半ば過ぎ、岡太川上流にひとりの美しい女性が現れ、村人に紙の漉(す)き方を教えたといいます。以来、村人はこの女神を「川上御前(かわかみごぜん)」と崇め、紙づくりを生業(なりわい)とし、この祭りが始まりました。
みどころの「紙能舞」は川上御前が紙漉(かみす)きの所作をするもので、楮(こうぞ)を刈り取る所作にはじまり、皮剥ぎ、皮むき、皮炊き、塵(ちり)より、紙叩き、紙流し、紙たて、紙漉き、紙干しの順で、作業工程すべてを舞のなかに見せます。「紙神楽」では子供たちが「紙漉き唄」を唄いながら舞うのも必見。
【取材・文:苦田秀雄】