日本の祭りレポート
もろのやぶさめまつり
流鏑馬は元来「矢馳馬(やばせめ)」と書き、「馬で馳せながら矢を射る」弓馬術です。いま流鏑馬行事は全国に120~130あるとされますが、小学生が騎乗するのは希少。
本祭の午後の流鏑馬は「夕的(ゆうまとう)」です。準備中、“鞍をつけましょう” とリーダーが言えば、全員が声をそろえて“鞍をつけましょう”と呼応。やさしい口調です。さらに作業をすすめるとき、若者らはピョンピョン跳ねるように走りつつ、“ホイ ホイ”という軽やかな声を発するのです。この祭りの別名が「毛呂のホイホイ祭」である所以です。馬場には3つの的が設けられ、乗り子たちは全力疾走をし、的を射ぬきます。さらに馬上芸までをも披露。流鏑馬は一般的に勇壮で激しいのが普通です。この優しさは何なのでしょう?
【取材・文:苦田秀雄】
出雲伊波比神社の流鏑馬(やぶさめ)は、流派による武芸ではなく、地域に伝えられてきた祭りとしての流鏑馬で、春と秋に行われています。秋の流鏑馬は15歳前後の少年が射手となり、祭りの日まで禊を繰り返し流鏑馬にのぞみます。地域から選ばれた少年が矢を放ち、地域が安らかであるよう願います。