日本の祭りレポート
おぐに・こたまがわ くままつり くままつり
ここは山形県の最南、小国町小玉川地区。40戸、110人ほどが暮らす山里です。これは山衆(マタギ)による熊供養と山の神に感謝する祭り。彼らは猟で山に入る際、必ず三つ股のご神木にお参りして安全を祈ります。そして数日「スノウ」という草木で作った仮小屋に寝起きしながら移動。熊に遭遇すれば七色の声を発するとか。大勢の人間がいるように見せかけるためです。
神事会場には5頭の熊の毛皮が懸けられ、祭壇にはその頭骸骨や魚のオコゼなどが供えられています。山の神は女性であるため嫉妬をかわないように醜いオコゼを供えるのだとか。自然を畏れ敬う、山の民の暮らしが垣間見えます。
【取材・文:苦田秀雄】
町の面積の9割以上を森林が占め、今なお「マタギ」と呼ばれる人たちによる狩猟の習俗が残る山形県小国町。サクラが咲く5月初めに300余年の伝統がある「熊まつり」が開かれます。熊まつりは、恵みをもたらす山の神に感謝し、狩猟した熊を供養する儀式で、古式ゆかしい神事と迫力ある熊狩りの模擬実演が行われます。