日本の祭りレポート
へとまと
これは国指定の文化財であり、日本を代表する奇祭です。場所は長崎県の離島福江島。下崎山地区の道で褌(ふんどし)の若者たちが観光客の顔に容赦なく墨をつけて回ります。これは化粧と同じく霊力をつける「タマフリ」。次はその道を和服の若い女性がふたり並んで歩いてきます。彼女たちはやおら菰樽(こもだる)に上り、その上で羽根つきを。シュールです。次は玉蹴(たませせ)り。それは鯨の目玉という、藁で作った巨大なおたまじゃくしみたいなもの。これの壮絶な奪いあい。豊漁祈願だとか。最後は巨大な藁草履の登場。長さ3.5メートル、重さ350キロ。10数人の若者がこれを担ぎ、沿道の女性を次々と載せては上下左右に揺するのです。それは神社に運ばれて奉納。「へトマト」、名前の由来も、神事の意味も不明。
【取材・文:苦田秀雄】
古来より下崎山地区に伝わる奇祭で、起源、語源については全く不明の民俗行事です。子供や青年の「宮相撲」、着飾った新婦二人が酒樽に乗って行う「羽根つき」、身体にススを塗り付けた若者がわら玉を激しく奪い合う「玉蹴り」、豊作と大漁を占う「綱引き」と続き、最後に「大草履」を担いで山城神社へ奉納します。
※出典:ダイドーグループ日本の祭り