日本の祭りレポート
おろごめ
錦江湾の柊原の浜に1辺およそ3メートル、深さ1.5メートルほどの穴が掘られました。それが子供たちがバトルする「苙(おろ)」です。世話役の“始め”の声で砂の穴の合戦は始まりました。それはあたかもレスリング。柊原小学校の6年生は武士に見立てられ「オヤガシラ」、5年生以下は馬に見立てられ「コガシラ」といいます。「コガシラ」は「オヤガシラ」を叩こうが、蹴ろうが自由ですが、「オヤガシラ」は「コガシラ」を引っぱり出す以外に手出しはできない決まりです。これはもともと馬を柵に追い込むことによって武士を鍛えた薩摩藩の軍事訓練だったとされ、それが後世子供たちの健やかな成長を願う小学生の男児の行事として残ったもの。
【取材・文:苦田秀雄】