日本の祭りレポート
しょうじゅうらいこうねりくようえしき
今から1015年むかし、悲運の中将姫は継母にうとまれ、29歳で他界。これは姫が西方極楽浄土に旅立つ姿の再現なのです。娑婆堂(しゃばどう)から本堂に向けて長さ110メートルの来迎橋を観音菩薩、勢至菩薩、普賢菩薩を先頭に25菩薩が練ります。小さな中将姫の像を手に、金色の面をつけ、後ろに光輪を配し、二上山に傾く夕陽に向けて歩く菩薩の姿は荘厳の一言。二上山の向こうにあるのは極楽浄土。観音菩薩と勢至菩薩は腰を落として大股で手を振り、他の菩薩たちは両手を胸の前に合わせてゆっくり、ゆっくり練ります。厳かな雅楽が流れ、観客は自然に頭を垂れ、合掌し、自身の極楽往生を願うのです。開催日は中将姫の命日です。
【取材・文:苦田秀雄】
奈良時代、蓮の糸を用い一夜にして阿弥陀仏の極楽浄土を織り上げた中将姫。29歳で往生した姫の命日に合わせ西暦1005年に恵心僧都によって始められた練供養は、全国のお練りの祖といわれます。日が二上山に傾くころ、観音菩薩らが25菩薩を従えて来迎する様は荘厳で、人々は自身の極楽往生を願います。
※出典:ダイドーグループ日本の祭り