日本の祭りレポート
たきさんじおにまつり
JR名古屋駅から車で南東へ約1時間。大沼街道沿いの山あいにある瀧山寺は鎌倉幕府、足利氏、徳川家の恩恵も受け、文化の香りを放つ古刹です。歴史は1300年。
「瀧山寺鬼祭り」は豊作予祝と、儺を祓う追儺式、火祭りが合体した行事で、鬼が登場します。元来鬼は、姿は定かではなく暗闇にひそむなにか得体のしれない存在で、「隠(おぬ)」が語源。ここで使われる鬼の面は室町時代前半期の作とされ、それは、祖父面(じじめん) ・祖母面(ばばめん)・孫面の三匹の鬼。
祭りの重鎮である十二人衆が行列で境内に入ってきます。「庭祭り」の始まりです。まず「長刀振り」の演舞、それに続いて「田遊び」と「田植唄」。豊穣予祝です。そこからがクライマックス。十二人衆お手製の大松明に火が点けられます。国の重要文化財である瀧山寺本堂で30人ばかりの白装束の男が大松明を振り回すのです。半鐘が打ち鳴らされ、法螺貝や太鼓の音が響き、まさにそこは修羅場の様相。そこに鬼の面をつけ、大きな鏡餅を手にした子供が登場。また祖父面、祖母面も。シュールです。こうして里人の邪気が祓われるのです。
[取材・文:苦田秀雄]