日本の祭りレポート
うばらのだいみょうぎょうれつ
鵜原の漁師は祭りのことを「まち」と呼びます。「まち」が大好きで一年中話題といえば「まち」のこと。千葉県勝浦市鵜原はかつて紀州の漁師が、外房の豊かな漁場を求めて移り住んだ土地なのです。先進的な技術を地元に伝え勢力をひろげた彼らはやがて、自分達の神社「八坂神社」をつくり祭りも始めました。およそ400年前、紀州尾張の津島神社を参拝した大名行列に倣って立ち上げたのがこの大名行列ともいいます。使われている武具は、大多喜藩藩主「本田忠朝」から寄進された本物。どれもこれもずっしりと重く、花形の大鳥毛となるとよほどの強力でなければ扱えません。渡御の後、浜辺に出る「浜下(お)り」では、神社の一ノ鳥居である「紀州根」の前で威勢よく御輿の練りを捧げます。この祭りが海の男達による祈りの場であることがよくわかる、胸を打たれる光景です。
取材・文:加藤正明
八坂神社の例祭で行われるこの行事は、神社を出発し「よい、よい、よいやまかせぇ」の掛け声で鵜原の街中や鵜原海岸を練り歩きます。行列は若衆頭、挾箱、大鳥毛、陣笠、黒沙熊、白沙熊、若衆頭、中鳥毛、新沙熊、新鳥毛、枝槍、槍、槍組、弓組、鉾組、薙刀組、鉄砲組、若衆頭、神輿の順に続きます。鵜原海岸では神輿渡御「お浜おり」が行われます。
※出典:ダイドーグループ日本の祭り