日本の祭りレポート
いまばりちくはるのたいさい つぎじし
それは「二継ぎ獅子」から始まりました。つまり人間の2段重ねです。3段、4段重ねは成功。彼らはついに人間の5段重ね、「五継ぎ獅子」に挑戦するというのです。獅子子(ししこ)(神童)がそろりそろりと最上段に登ります。神童の下の4段目は彼の父親。危険極まりない荒行にわが身を呈するのは親しかいないのです。人間トーテムポールはスローモーションのように崩れ落ちました。父親はすかさず息子を抱きかかえます。挑戦は2度失敗。そしてついに成功。拍手がありません。呼吸すらはばかれるように思います。それは空気の振動で崩れるのではないかと思うから。緊張は極限。最上段で神童は足の指に扇を挟んで舞います。いま彼は神に領域に届いたのです。神になったのです。感動にみな涙します。
【取材・文:苦田秀雄】