日本の祭りレポート
さかきまつり
佐久市望月宿は千曲川に合流する鹿曲(かくま)川沿いの旧中山道25番目の宿場町。8月15日、夕方6時半、松明山で点火された松明を手に、道祖団の若者らは山道を駆けおり、鹿曲川に架かる望月橋へ。そして橋の片側に整列し、掛け声もろとも手にした松明を川に投げ込みます。見事な放物線は光の滝。夜8時、出発の儀式をすませた東町、本町、西町、白山の榊神輿がやってきます。途中、お互いの神輿が荒々しい煽(あお)りあいをみせます。鋭いホイッスルの音がいくつも鳴り響き、榊神輿は乗っている若者もろとも前後にガツンガツンと揺すられ、天に伸びた生木もそれにあわせてバサリバサリ。古来諸々のものが往来する街道はこの榊の枝葉で祓い清められてゆくのでしょう。
【取材・文:苦田秀雄】
火と榊によって一切の不浄を払い浄め、五穀豊穣、無病息災を祈る、室町時代から続くと云われる、旧中山道・望月宿での伝統の火祭りです。闇夜に揺れる松明を手に山から駆け下り、松明を鹿曲川へ投げ込むさまはまさに幻想的。繰り出す榊神輿は激しくあおりあいながら練り歩く、信州の奇祭とも言われる幻想的な火祭りです。
※出典:ダイドーグループ日本の祭り