日本の祭りレポート
てんねんじしゅじょうおにえ
国東半島一帯には仏教遺跡が多く残され、大陸文化の集積地でもあり、険しい山岳地帯ゆえに他所の影響を受けにくいため、独自の仏教文化を育んできたところです。「天念寺修正鬼会」は1000年前から伝わる大宗教典儀で、国家安穏、万民快楽、五穀豊穣を念じる法要。僧たちは堂内に凛と屹立し“ソラオンニワヨ ホーレンショウヨ”の経を発します。赤鬼と黒鬼が堂内の群集めがけて松明を振り回します。火の粉が飛び散り、人々は雄叫びを上げながら逃げ惑います。煙で目が痛い。読経はどんどん続き、六郷満山の歴史の重みが体にのしかかり、心は仏の世界を浮遊。最後に餅まき(鬼の目まき)が行われ、祭りは終わりました。これは日本の仏教文化の深淵を垣間みる祭り。
【取材・文:苦田秀雄】