日本の祭りレポート
やましろしらはかぐら
ここは28世帯、50人ばかりの「まんが日本むかしばなし」のような集落。広島県に近い山口県です。江戸時代、この一帯が大変な飢饉や疫病に見舞われたため、神事として始めたのがこの神楽と伝わります。それは白羽神社で夜を徹しての舞。演目は「一人神楽」「湯立神楽」「猿田彦」「恵比須」「三鬼(さんき)」「小太刀」「二本刀(にほんぎ)」「芝鬼神(しばきじん)」「鵺退治(ぬえたいじ)」「天の磐戸」「大江山」「八岐乃遠呂智(やまたのおろち)」「天代将軍」の13で、出雲や安芸十二神祇神楽の影響を受けたもの。各家では晩ご飯に祭りの定番の押し寿司「岩国寿司」を食べ、夜10時をすぎたころ、三々五々白羽神社にやってきます。少年、少女らは数ヶ月間必死に練習を積み重ねました。そしてどの子もこの日を待っていました。ここにみたのは親子3代で舞う幸せ。観客席の幼児らはすっかり夢のなか。
【取材・文:苦田秀雄】
江戸時代、飢饉や疫病の流行に悩まされた農民が始めたという山代白羽神楽は、白羽神社の秋祭夜殿祭で奉納されます。時に激しく、時に滑稽に、神楽の奉納は夜明け頃まで続きます。約30年前から子どもたちによる神楽団も結成され、山代白羽神楽は山間の小さな集落で脈々と受け継がれています。
※出典:ダイドーグループ日本の祭り