日本の祭りレポート
とんぐうさい
毎年10月には全国の神様が出雲にいってしまうため、伊福ではその間地域を守るのに6地区から6人の男性が御神籤(おみくじ)*で選ばれ、神様を務めます。忙しい家長が務めるため、当たった人は心中微妙。祭りの初日の午前中、神様たちはそれぞれの自宅から花車(神輿)に載せられ、氏子地区をあまねく回り、酒を飲まされ、食事をいただきつつ神社に「お上(のぼ)り」です。出立にあたっての各家はまるで出征兵士を送り出すかのような風景。女装の若者たちが囃しながら随伴。地域を一回りして神社に到着した6人の神様はすでに酩酊状態。神様は担がれて拝殿に運ばれます。そこにはすでにひっくり返っている神様も。こうして彼らの3日間にわたる神様生活が始まったのです。
【取材・文:苦田秀雄】
日本中の神さまが出雲に集まる神無月の10月は、神さまが「お留守」になります。それでは村を守れまいと各地区から選ばれた6人の男衆が神さまになりかわって務めを果たすのが「屯宮祭」。祭りの期間中は子ども相撲や餅まき、新たな実りに感謝する「新嘗(にいなめ)」の儀式も行われ、村は神人一体の空気に包まれます。
※出典:ダイドーグループ日本の祭り