日本の祭りレポート
とんばんさん
「とんばんさん」とは「遠見番所(とおみばんしょ)」が訛ったもので、難破船や外国船を見張るために高台に作られた施設です。その高台の小さな琴平神社で例祭が行われました。そして全員が輪になって踊り、街なかのお旅所に向けて「お下り」します。子供たちの役割は「汐振り」で、木樽の塩を榊にまぶして撒きながら、歌は“ほー、ほーほたるこい”、とかももたろさんなど。さらにユニークなのは「挟み箱」です。大人たちは顔を真白く塗った上に、キュウリや茄子などの野菜を描き、卑猥な腰つきで、歌を唄いながら通りを進むのです。翌日の「お上り(還御)」は顔に伊勢エビ、蛸などの魚介類。つまり、前日の豊作祈願に対し、翌日は豊漁祈願なのです。長崎県の地勢は複雑なため他所の影響を受けにくいこと、早くから海外文化を取り入れたため独自の祭りが多く残ります。
【取材・文:苦田秀雄】
海の安全と大漁祈願の神様を祀る琴平神社の春季大祭で、その昔、船の出入りを監視した「遠見番所」が置かれていた事に因み、「とんばんさん」の名で親しまれています。神社から御旅所までの神輿行列に従い、白塗りの顔に、海の幸・山の幸を描いたユーモラスな出で立ちの奴達が、春を告げ練り歩きます。
※出典:ダイドーグループ日本の祭り