日本の祭りレポート
みよしぼんでんさい
祭りは神の力の宿る梵天に触れることによって力をいただき、梵天についている護符を奪って霊験を授かりたいとするもの。その奪いあいの激しさから別名「けんか梵天」と言われます。人に押し負けてはならないのです。
各町を回った70ばかりの梵天が“わたしゃ太平三吉の子ども~”を唄いながら神社に集合。そして次々と神社に突進。担ぎ手は暗い拝殿の奥に梵天をつっこみ、護符を奪いあい、押しては引いて、引いては押してをくり返すのです。そこはもう阿鼻叫喚の世界。加減を心得た殴りあいもあちこちで頻発。警官が観察しているのはその殴り方。ニッポンの祭りです。地域の呼吸です。
【取材・文:苦田秀雄】
毎年1月17日に行われる太平山三吉神社の例祭。
五穀豊穣や家内安全、商売繁盛を祈願して各町内会や会社、団体などが梵天(ぼんでん)と呼ばれる依代を奉納します。先陣を競い、境内を激しくもみあいながら奉納することから「けんか梵天」の異名をとります。この日、真冬の秋田は男衆の熱気に包まれます。