日本の祭りレポート
うちうえさい
この祭りは離れ離れで暮らしている神様夫婦が年1回の逢瀬を楽しむところが見もの。今西地区の香取神社の姫神様が、通称「神の道」を通って田代地区の天宮神社の男神様を迎えに出向いて一夜を過ごすのです。その往復8キロの旅で里人たちは「ナンコ*」などさまざまな神事をして豊穣を占い、祈願。香取神社に帰り神事が終わり、境内で「カギ引き」を行います。竹の綱引きです。今西・香取地区の戦いで、これに勝った方が豊作。さらに「田植え狂言」。それも豊作を祈るもので、今西地区の農民ふたりによる即興劇。何を喋っているのか、よそ者にはまったく理解不能。重ね重ねの豊作祈願に執念を感じます。祭りの最後、宮司さんは里人にもみ殻を分け与えます。彼らはそれを混ぜて翌年の苗を育てるのです。
*ナンコ:互いに棒を隠しもって何本持っているかを当てるゲーム。勝った地区が豊作。
【取材・文:苦田秀雄】
約400年前から伝わる五穀豊穣を祈願する祭り。香取神社(今西地区)の女神が、天宮神社(田代地区)の男神を1年に1度迎えに行き一緒に帰ってきたあと、香取神社の境内で、作況を占うカギ引き(竹引き)や田植え狂言が奉納されます。その狂言は、木牛と馬鍬を使い方言を交えたユーモラスなものです。
※出典:ダイドーグループ日本の祭り