日本の祭りレポート
あんばまつり
あの日、15メートルを超える大津波は人も、家も、神社も、祭り道具も、地域ごとさらってゆきました。でも、祭り人たちは荒野となった故郷の神社跡で祭りを続けているのです。本来「あんば」とは「浮子(あば)」と書き、漁網の縁につける「浮き」を意味し、それが「あんば様」として豊漁の神となり船霊の親神とされたという説があります。苕野(くさの)神社で奉納される田植踊は天明の大飢饉の後会津地方で踊られるようになり、ここに伝わったとされます。
午前10時、相馬の国歌とされる民謡「相馬流れ山」が唄われ、獅子舞に続いて田植踊が始まりました。叶うならばふたたび樽みこし海上荒波渡御を。請戸のみんなの願いです。
安波祭は豊作や豊漁、海上安全を祈る伝統行事で、江戸時代からの歴史があると伝えられています。2011年の東日本大震災と原発事故後、避難先で規模を縮小して開催していましたが、2018年に地元で再開しました。会場では芸能保存会による神楽のほか、子どもを中心とする踊り子たちが、豊作を祈る田植踊を奉納します。