日本の祭りレポート
だいせんじみゆき
この御幸の先頭で燃える炎は天台宗比叡山延暦寺の根本中堂で1200年にわたって燃え続ける火を分火したもの。博労座の広場で法要が営まれ、御幸は800メートルの参道をゆっくり進みます。神輿に座った地蔵菩薩の表情のなんと穏やか、柔らかなことか。新緑が眩い陽の光を受け、住職にさしかけられる真っ赤な傘。猿田彦が威風堂々と、童子が10名よちよちと、白丁の厄年の青年が喘ぎながら神輿を担ぐ、その光景は平安絵巻。大山の人たちは大山があって生活があり、地蔵菩薩(ごんげん様)があって命が守られているといいます。里人の安らかな表情にこの御幸の深い意味を感じます。
【取材・文:苦田秀雄】
平安時代に始まったとされる大山寺の祈願法要。大山寺参道を、古の装束をまとった男たちや稚児、御輿が練り歩きます。最盛期には7基の御輿が続き、総員は300余人であったと伝えられています。昭和13年を最後に中断されましたが、昭和62年に復興。現在は3年に一度、厄年の男たちを中心に執り行われています。
※出典:ダイドーグループ日本の祭り