日本の祭りレポート
ちこうづひのかみまつり
夕方、鹿嶋宮で素朴な神楽が終わりました。そのあと宮司が神火を採火し、境内に積んである椎の木の切り束に点火。乾燥した葉はバチバチと激しい音を立て、あたりは火の海。攻めてくる炎から神社を守るのは独身男性。攻めるのは既婚の男性。双方がサスマタの棒を手に、火の塊をはさんで投げつけるのです。“はねんか!(下に落とせ)”の怒号が連鎖。それは1100年ほど前、新羅(しらぎ)の海賊を追い払うために住民が火のついた木を投げつけたという勇気ある行動を表すものとか。しかし津波で祭りの資料が流失したため不明の部分も多々。最後は真竹を櫓(やぐら)状に組んだ「大山(うーやま)」に点火。竹の破裂音が炸裂。
【取材・文:苦田秀雄】
近津鹿嶋宮火ノ神祭りは、およそ1100年前、朝鮮半島の新羅国の海賊が近津港を襲ってきたため、村人たちが山から切り出した木に火を点け、投げつけて防戦したという故事を起源にした祭り。火の粉が激しく飛びかう中、守り手の独身男性と攻め手の既婚者が迫力の攻防を繰り広げます。
※出典:ダイドーグループ日本の祭り