日本の祭りレポート
ぎおんしゃしんこうさい(がっちまつり)
島根町野波は松江半島北岸、目の前に日本海を望む小さな漁村。祭りはそこに鎮座する日御碕神社の例祭です。「ガッチ祭り」の「ガッチ」とは白装束に鬼の面をつけた神の使い。それがあたりかまわず「シッボ」とよばれる藁の棒で人や地面をたたき“、へー、へー”と奇声を発しながら進むのです。祇園社の神様が日吉神社に年一回里帰りする道を清め、人々の無病息災を祈るということ。歩きながら進むことから「徒歩(かち)」がなまって「ガッチ」とも。その神幸をここでは「じんじさん」とよびます。「じんじさん」の道には目の前の日本海で採れた塩が撒かれています。清めです。
子供らは「ガッチ」の前に後ろにくっつきながらしばかれたり、必死に逃げ回ったり。幼児は恐怖にのけぞりかえり、窒息するのではないかという鳴き声を発します。秋田県の「男鹿のナマハゲ」を思い出す風景です。
[取材・文:苦田秀雄]