日本の祭りレポート
ひるがのすいちゅうつなひき
その昔、日向湖と若狭湾をつなぐ運河に大蛇が出て村人は大変困っていました。識者が「蛇は自分より大きいものに恐れる性質がある」というので、村人は藁で大きな綱をつくり、常時運河に張ったとか。すると大蛇は出なくなり、その縁起の良い綱に少しでも触れようと、海中で引きあったのがこの綱引きの由来のひとつ。
伊勢音頭が終わると鉢巻をつけた若者がパンツ一枚で橋の欄干に駆け上がり、掛け声とともに次々と運河に飛び込みます。総勢20名あまり、彼らは泳いで岸の左右に分かれ、身を切る水の中で威勢のいい掛け声をあげながら大綱の大蛇を引っ張ったり、解いたり。大蛇はバラバラになって流れてゆきました。
【取材・文:苦田秀雄】