日本の祭りレポート
みくにまつり
2基の神輿と神宝棒持の行列、武者行列、武者人形山車(やま)が新緑の若狭の港町を練ります。なかには丹下左膳も。高さ6.5メートルほどの人形山車は市内の狭い路地をハネ上げ笛と三味線、太鼓の囃子にのってゆっくりと進みます。その光景は豊かな地方都市の、手造りの温かさを感じるもの。人形も手作りで、巡行のタイムスケジュールも大雑把で、細かいことには無頓着。かつて三国湊は北前交易の風待ち港として使われましたが、瀬戸内交易航路の開設により、敦賀や小浜が衰退し、松平藩唯一の外港だった三国に脚光があたることになるのです。神仏分離以前の形を残すこの祭りには、あちこちに豊かなおらかさがみられます。
【取材・文:苦田秀雄】
三国祭は北陸三大祭のひとつと称され、270年以上の歴史があります。中日(なかび)には、6.5メートル程の武者人形山車(やま)が三國神社前を出発し、街中を夜遅くまで巡行します。三国祭の行事は神仏分離以前の江戸時代以来の伝統習慣を今に伝えているとされ、福井県の無形民俗文化財に指定されています。