日本の祭りレポート
ひよしじんじゃ さかきまつり
「榊」の語源は「神と人の境にある木」ということで、葉の先の尖った部分に神がつくとされ、古来祭りでは多用されてきました。神聖な木なのです。よってこの祭りでは榊でできた神輿が「宮みこし」の通る道を清めるのです。その距離4キロ。
笛、太鼓、鉦の粋なお囃子で山車が街を練ります。若連は白い紙の花を飾りつけた万灯(まんど)を振り回します。もうここは祭り一色。
そして午前0時、一番太鼓の合図で榊神輿が出御。榊にはたくさんの白い紙垂がつけられています。稲妻を表しているとか。16歳から27歳までの若連の男が爆発。重さ250キロ、高さ5メートルの「榊神輿」はまるで生き物。午前6時、「榊神輿」が還御。人々は“わっ”とそれに飛びつき、紙垂と榊を奪いあいます。それを取れば1年間無病息災が約束されるといいます。午後1時、“えんやー”のかけ声で「宮みこし」が担ぎあげられ、しずしずと奥多摩街道を進みます。それに付随する行列は「山王祭図絵」に忠実な、歴史を感じさせるもの。拝島の祭り人の熱さに酔いしれる祭りです。
[取材・文:苦田秀雄]