日本の祭りレポート
まつやまあきまつり いまづおおみこし
10月7日、神輿は延々10時間にわたって地域を練ります。黒い重戦車を思わせるそれは家々に突っ込んで玄関の壁を壊す、時計を落とすの大暴れ。家人はにこにこ。暴れれば暴れるほど強いパワーをいただけるのです。地域をかわり終わった夜、神輿は住吉神社へ還御。担ぎ手は黒法被の「若衆」と呼ばれる青年軍団。神社の鳥居の前で待ち構えるのは「家持(いえもち)」という壮年者軍団。神社に帰ろうとする神輿を“まだまだ地域でがんばれ”ということで「家持」が阻止。そこに「若衆」担ぐ神輿が突入。「家持」は“若いもんに胸を貸してやる”という余裕の雰囲気。神輿は地面に投げつけられたり転ばされたり。地が響き、埃が舞いあがりの大攻防の末、神様はやっと神社に還御。
【取材・文:苦田秀雄】
松山市南西部の西垣生に伝わる「今出大神輿(いまづおおみこし)」。宮入りでは「家持ち」といわれるベテラン衆が神社に入れまいと、逆に「若い衆」は神輿を宮入りさせようと真剣勝負の熱い押し合いが繰り広げられます。何度も地面に落とす迫力ある神輿が松山の秋祭りを盛り上げます。
※出典:ダイドーグループ日本の祭り