日本の祭りレポート
いつくしまじんじゃほんかいちょう
大浦の人々は厳島神社の弁天様を大漁・航海安全・財宝の神として手厚く祀ってきました。その本開帳が60年ごと、中開帳が30年ごとというため、地域の人のこの祭りにかける想いはとりわけ熱いものがあります。大浦には4つの地区があり、次回弁天様に会えるのは30年後であるため、渡す側は隣の地区になかなか渡さず、受け取る側は“早くして”とせがみます。このやりとりもまたおもしろい。船の形をした「大浦の担ぎ屋台」も巡行し、太鼓と笛のお囃子が漁港を流れます。ここの人たちは人生でこの祭りを何度経験するかが生きる励みになっているといいます。
【取材・文:苦田秀雄】
千葉県南東部、鴨川漁港の沖合いに浮かぶ弁天島にある厳島神社のご本尊、弁財天(通称、弁天様)のご開帳で60年に一度の大祭です。鴨川漁港の卸売市場前から弁天島までの約250メートルの海上には漁船が並べられ、故事にのっとった神事が繰り広げられます。