日本の祭りレポート
きこないのかんちゅうみそぎまつり
青森駅から青函トンネルを抜けて北海道へ。最初の駅が祭りのある木古内。白い大地の瀟洒な駅舎。「北の大地の始発駅」の看板が旅情を誘います。夜佐女川神社へ。行修者とよばれる4人の若者は褌姿で、口に晒を噛み、両手を胸の前に組み、一列で神社の石段を降りてきます。彼らは神社の下で3日2晩にわたり、氷点下10度、水温2度の水垢離を何百回にわたって行います。鍛錬部長が太鼓を打てばただちに跳ね起き、誰もみていない深夜でも容赦なし。それは豊漁の期待を一身に背負った荒行。彼らは言います。“冷たいのではなくて、痛いです。背中に大砲を撃ち込まれた感じです”と。祭り最後の日の朝、4人は津軽海峡の禊ぎ浜で、それぞれ別当、稲荷、山の神、弁財天を抱いて海に入り、御神体を清めます。水温8度に彼らの表情は和らぎました。
【取材・文:苦田秀雄】
天保2年(1831年)から伝わる伝統神事です。「行修者」と呼ばれる4人の若者が、毎年1月13日から佐女川神社にこもり、厳寒の中で何度も冷水を浴び鍛錬を行います。そして15日に極寒の津軽海峡に面したみそぎ浜にて、別当・稲荷・山の神・弁財天の4体の御神体を潔め、1年の豊漁豊作などを祈願します。
※出典:ダイドーグループ日本の祭り