日本の祭りレポート
かんのうがく
風流(ふりゅう)系の太鼓踊は、「楽(がく)」「楽打(がくうち)」ともいい、福岡県の豊前、大分県の南部に多く見られます。感応楽は干ばつと疫病の蔓延が起こった697年、修行者が教え授けた舞楽を村人たちが奉納し厄災を打ち払ったのがはじまりとされ、「国楽」とも呼ばれます。2024年、大富神社での奉納を間近で拝見しました。天に地に神がいるなら、この太鼓の音が届くなら、われらの願い叶えたまえ、村を救いたまえ…。重い太鼓を抱えて力の限り踊り続ける楽人たち、汗がしたたる、呼吸ができない、腕も脚も上がらない。家族なら飛び出していって「もういいから、天に声は届いたからやめて、このまま続けたら死んでしまう!」と叫びたくなるくらいの激しさ。神に己を捧げる楽の奉納。胸がしめ付けられました。
[取材・文:加藤正明]