日本の祭りレポート
きよさわのかぐら
そこはここがまだ静岡市なのかと疑うような山の中。その山肌にへばりつくようにある小林家。ポツンと一軒家。今川家臣の子孫。その居間が清澤神楽の舞台です。笛の音がヒュルル、ヒュルルと山肌をはい上がり、鈴と太鼓がシャンシャン、ドンドン歯切れ良く。人里離れたこんな秘境でも人々は故郷の文化を紡いでいるのです。
この神楽は基本的に「湯の舞」「五方の舞」「大助の舞」「金丸大明神の舞」「安倍太刀の舞」など24演目あり、午後3時から翌朝未明まで行われます。舞は陰陽五行説にのっとり、東西南北に舞筋をとってそれぞれの方向に向かって同じ所作を繰りかえします。さらに湯立神事や反閇などの呪術的な意味合いをもった演目もあり、舞台の天井には色鮮やかな切り飾りが垂れ下がり、もしかしたらこれを鑑賞できることは至上の贅沢かも。
[取材・文:苦田秀雄]